世界一周の放浪
2015年、作業療法を学び4年が経った頃、パスポートを握りしめて国際線のロビーに立っていた。退職届は無事に受理され、バックパックに数日分の食料と衣類を詰め込んでインドネシアのバリ島に渡った。
異なる文化。初めて耳にする言葉。すべてが新鮮で今を生きる一瞬を大切に過ごしていた。
嚙まれたら狂犬病になりそうな野良犬に追い掛け回されては毎日ビーチで夕陽を眺めた。
ジャワ島からマレー半島を北上しタイを経てカンボジアに入国。
カンボジアでは3ヶ月、電気も水も無い村で幼稚園建設を手伝い、ゴミ山で暮らす子どもたちにはシャンプーとお菓子をプレゼントした。
インドは想像を超える異世界。
手足を切断した物乞いや破れたシャツを着る小さな兄弟に頭を下げてお金をねだられた。
ある日ガンジス川のほとりでは沐浴するヒンドゥー教徒、目の前を運ばれる遺体は火葬され、聖なる川に流される場面を見ながら家族について考えた。
中東はイラン、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区を陸路で横断。
複雑な歴史が絡み合い、内戦の爪痕や宗教観の争いを身にもって体験した。
アフリカを南下し、自然の壮大さを肌で感じた。
アルゼンチンでは認知症のイルダおばあちゃんの家に居候し、南極に近い極寒の村で毎日スーパーへお遣いしては食料や日用品を買い物して家族のように過ごした。
旅の最後はオーストラリアでトマトの収穫作業、メルボルンでマッサージ屋の仕事、語学留学を経験。
1年7ヶ月、36か国の旅だった。
人生は一度。世界一周を経験してわかったこと。
Love&Peaceでこの世界は成り立っている。